訪問マッサージ基本施術マニュアル(仰向け)|訪問施術者研修
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2020.11.16
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医療・介護の現場にいると背中が丸くなっている人よく見かけます。訪問マッサージの患者様にもとても多いです。高齢者に多い姿勢ですが、医学的には「円背(エンパイ)」や「亀背(キハイ)」
と呼ばれます。では、背中が丸くなってしまうと、どんな身体的な影響が出るのでしょうか?
腰が曲がる事で、足が上がりにくくなったり、つまづきやすくなったり、歩行速度が落ちてきます。
バランスを崩した際の適応運動が低下し、転倒しやすくなります。
・腰背部への痛み
・疲れやすい
・老けて見える
など、身体的な影響が出てしまいます。
円背の方に『もっと足を上げましょう』などと促しても なかなか難しいのです。
円背の原因として、「二分脊椎」や「先天性脊柱後湾症」など生まれつき脊椎の変形がある場合や、「化膿性脊椎炎、脊椎カリエス、脊髄髄膜瘤、強直性脊椎炎、骨軟骨異形成症、 骨形成不全症、軟骨無形成症、腫瘍」など、病気が原因で起こる場合も あります。しかしほとんどの高齢者の場合は上に挙げた理由で円背になっているわけではないようです。
☆圧迫骨折、☆骨の摩耗・変形☆筋力低下による姿勢不良が大多数です。
骨粗鬆症などで圧迫骨折を受傷する事で『円背』の症状が出てきます。一見均等に潰れているようですが、圧迫骨折では背骨がお腹側に潰れて変形するものです。何度も繰り返すと変形が進んでしまいます。
長年体重を支えてきたことで背骨がすり減ったり、少しずつ変形することで円背になります。これも大きな原因は加齢によるものですが「加齢が一要因ですが、絶対になってしまう訳ではありません。」
骨格の周りを筋肉や腱、靭帯で固めて、バランスを保つことで姿勢は保持されています。重要なのは筋肉で、筋力が低下するとからだのバランスが維持できなくなり、姿勢が崩れていく事が原因となります。
改善方法は、『円背』の原因によってアプローチの仕方が変わってきます。前回お伝えした原因の中で『圧迫骨折』や『骨の摩耗や強い変形』については、正直・・・・手術治療などの治療となります。但し、『筋力低下等による姿勢不良』からくるものは、筋力トレーニング・ストレッチやバランスを整える事で改善される事があります。
まず医師からの診断・既往症で、① 脊椎に変形や骨折が無いか。②骨粗鬆症による椎体の圧壊・変形がないか。を確認しましょう。
寝転んで背中が真っ直ぐ伸びる場合は、立位を取った時に体が重力により潰れて見かけだけ円背になっている可能性が高いです。
寝転がった時に背中が浮いてしまう場合は、骨などに異常がある場合が多いです。脊椎に変形があって円背になっている方は、立っていても寝転んでも背中が曲がったままになってしまいます
高齢者の円背の方に共通しているのが、首周り肩周りの動きの乏しさです。円背による腰痛がある場合が多いので、腰周りの筋肉をほぐすようリハビリも必要ですが、円背を更に進めないようにするためにも、過度に前にでている両肩を開いていただくように、まずは肩周り・首周りの筋肉の緊張を取り除き、その後肩を動かすような運動をするのが良いと思います。
円背・亀背を進行させないストレッチ・エクササイズ動画解説
1.まず、足を腰幅に開いて椅子に座ります。
2.手を後ろで組みます。
3.胸は上前、腕は斜め下に伸ばします。
これで、20秒キープします。
1.しっかりと椅子に腰かけ、首を曲げ背中を丸め5秒キープします。
2.次に、首と背中を反らせ、5秒キープします。
1.足を軽く開き、腕を伸ばして両手を頭上で合わせます。背筋を伸ばし、真っ直ぐ前方を見つめます。
2.手のひらを外側に向けながら、肘をゆっくりと曲げていきます。肩甲骨同士を寄せられる限界まで近づけて。5回繰り返しましょう。
※スローな動きを意識することで、肩甲骨の柔軟性がUP!
タオルを背中側で持って、左右に大きく動かします。
タオルを背中側で、斜めに持って伸ばします。
タオルを背中側で下からもち左右に引っ張り伸ばします
カルシウム摂取を心掛けて、ビタミンDとマグネシウムを一緒に撮れるとさらに効果的!普段の食事から取り入れていけると良いですね。
円背の患者様は身体に力が入る時はしっかり動作のサポートをして背中に負担が行かないよう注意。
視界がどうしても下方に行きやすくなるので上部への注意がおろそかになりがちです。歩行の際は上部への注意を払う必要があります。
姿勢の改善として無理に背中を伸ばさせたり、可動域を超えた動作は痛みがでてきやす為無理をは禁物です。
(※各運動共、無理のないよう行ってください!)
ここでは、訪問マッサージの対象症状となる関節拘縮について、関節拘縮の予防方法や治療方法をご案内します。
関節包や靭帯等の結合組織の伸張には20〜30分間の持続的伸張が望ましい。これは、長時間にわたり弱い伸張力を加えたほうが、伸張力を除いた後でもその効果が持続(翌日の ROM の戻りが少ない)するという結合組織の性質があるからです。
2~3秒の最大等尺性収縮(ホールド:患者は関節を動かそうと力を入れてもらい、それに対して術者は抵抗をかけてホールド・静止させる)の直後に力を抜かせ,リラクゼーションを得る方法。緊張の低下により関節可動域の増大を得る事ができます。
自動的関節可動域訓練と他動的関節可動域訓練があり、状態によって使い分けます
拘縮とは・・・関節包外の筋肉・靱帯・神経・血管・皮下組織・皮膚等の組織の変化に起因する関節可動域制限
強直とは・・・関節包内の関節軟骨・骨・関節内靱帯等の組織に起因する関節可動域制限
関節が癒着している強直に関しては、関節可動域訓練はほとんど効果がないので、状態によって治療方法が異なります。
【参考文献】
1)田島達也: 拘縮の概略. 臨床リハ, 5(2), p135-138, 1996
2)武富由雄: 関節可動域制限. 石川 斎ほか(編集): 図解理学療法技術ガイド,
第1版, 文光堂, p54-67, 1997
わたしたち訪問マッサージ師が普段訪問している患者さんでも多くの方が便秘傾向にあり、そういった患者さんにはお腹のマッサージを取り入れいています。ある在宅クリニックの先生の情報では患者さんの6割から7割はなんらかの便秘薬を処方されているそうです。特に寝たきりの患者さんなどでは運動量が減るので、便秘になりやすい傾向があります。
まずは、準備段階として、お腹の中央・左側・右側・上側・下側を圧迫します。
お腹を時計に見立てて、お腹の右下腹部から左下腹部、8時から6時の方向に円を描くようにマッサージします。
お腹に手を密着させる これが一番重要です。体の表面はお腹であっても平らになっていることはありません。マッサージする手のひらをお腹にぴったりと当てて行えるかどうかが最重要項目です。
腹式呼吸の要領で大きく息を吸ってお腹を大きく膨らませてもらい、その後息を吐いてお腹を凹ませてもらう事、これを繰り返すと腸の働きがより活発になりGOODです。
生活保護を受けておられる方も以下の手続きを行うことで、医療扶助というかたちで鍼灸(はり・きゅう)・マッサージ施術を受けることができます。
市役所など自治体へ行き、担当ケースワーカーさんに鍼灸・マッサージ施術を受けたい旨を相談して「給付要否意見書」を交付してもらいます。
※「給付要否意見書」とは身体の状態が医療扶助を行う必要があるか否かを判断する資料として、交付される用紙です。
主治医(かかりつけ医)から「給付要否意見書」に同意の署名もらいます。
主治医署名後の「給付要否意見書」を市役所に提出します。
市役所は提出された「給付要否意見書」に基づいて、被保護者の状況を確認したうえで、嘱託医の審査を経て医療扶助の決定を行い、施術が開始となります。
2021年5月10日再編集
訪問マッサージにおける施術料の支払いは通常であれば受領委任払いと言われ、病院の窓口支払い方法と同じで一部負担金の支払いとなります。しかし一部の保険者によっては、償還払いとなっている保険者もあります。また長期頻回施術の場合は償還払いとなる場合があります。
藤和マッサージでは、心地よいマッサージだけでなく、身体機能の維持・向上を目的とした運動療法も重視しています(^^)/
他動運動をすることで、筋収縮を生み出します^^;