介護職員さん向け転倒予防講座
- これまで介護施設で行ってきた転倒予防講演を再構成したものです。
- 転倒骨折される高齢者を減らす事を目的とした講演です。
- 当社、藤和マッサージは今回のような講演活動を、ご希望の施設様には無料で行っています。
- 各施設様の状況、入居者様の状況に合わせて最適な対応やメニューをアドバイスすることができます。
『お風呂の湯船に入る際に足が挙がらず引っ掛かり転びそうです。どんなエクササイが良いですか?』
ご質問ありがとうございます。お風呂に入る際に足が挙がりにくくなる方はとても多いと思います。早速回答させていただきます。
脚を上げる筋肉は腸腰筋です。ここの筋肉が弱くなると足があがりにくくなりますので、この腸腰筋を鍛える必要があります。
医療・介護の現場にいると背中が丸くなっている人よく見かけます。訪問マッサージの患者様にもとても多いです。高齢者に多い姿勢ですが、医学的には「円背(エンパイ)」や「亀背(キハイ)」
と呼ばれます。では、背中が丸くなってしまうと、どんな身体的な影響が出るのでしょうか?
腰が曲がる事で、足が上がりにくくなったり、つまづきやすくなったり、歩行速度が落ちてきます。
バランスを崩した際の適応運動が低下し、転倒しやすくなります。
・腰背部への痛み
・疲れやすい
・老けて見える
など、身体的な影響が出てしまいます。
円背の方に『もっと足を上げましょう』などと促しても なかなか難しいのです。
円背の原因として、「二分脊椎」や「先天性脊柱後湾症」など生まれつき脊椎の変形がある場合や、「化膿性脊椎炎、脊椎カリエス、脊髄髄膜瘤、強直性脊椎炎、骨軟骨異形成症、 骨形成不全症、軟骨無形成症、腫瘍」など、病気が原因で起こる場合も あります。しかしほとんどの高齢者の場合は上に挙げた理由で円背になっているわけではないようです。
☆圧迫骨折、☆骨の摩耗・変形☆筋力低下による姿勢不良が大多数です。
骨粗鬆症などで圧迫骨折を受傷する事で『円背』の症状が出てきます。一見均等に潰れているようですが、圧迫骨折では背骨がお腹側に潰れて変形するものです。何度も繰り返すと変形が進んでしまいます。
長年体重を支えてきたことで背骨がすり減ったり、少しずつ変形することで円背になります。これも大きな原因は加齢によるものですが「加齢が一要因ですが、絶対になってしまう訳ではありません。」
骨格の周りを筋肉や腱、靭帯で固めて、バランスを保つことで姿勢は保持されています。重要なのは筋肉で、筋力が低下するとからだのバランスが維持できなくなり、姿勢が崩れていく事が原因となります。
改善方法は、『円背』の原因によってアプローチの仕方が変わってきます。前回お伝えした原因の中で『圧迫骨折』や『骨の摩耗や強い変形』については、正直・・・・手術治療などの治療となります。但し、『筋力低下等による姿勢不良』からくるものは、筋力トレーニング・ストレッチやバランスを整える事で改善される事があります。
まず医師からの診断・既往症で、① 脊椎に変形や骨折が無いか。②骨粗鬆症による椎体の圧壊・変形がないか。を確認しましょう。
寝転んで背中が真っ直ぐ伸びる場合は、立位を取った時に体が重力により潰れて見かけだけ円背になっている可能性が高いです。
寝転がった時に背中が浮いてしまう場合は、骨などに異常がある場合が多いです。脊椎に変形があって円背になっている方は、立っていても寝転んでも背中が曲がったままになってしまいます
高齢者の円背の方に共通しているのが、首周り肩周りの動きの乏しさです。円背による腰痛がある場合が多いので、腰周りの筋肉をほぐすようリハビリも必要ですが、円背を更に進めないようにするためにも、過度に前にでている両肩を開いていただくように、まずは肩周り・首周りの筋肉の緊張を取り除き、その後肩を動かすような運動をするのが良いと思います。
円背・亀背を進行させないストレッチ・エクササイズ動画解説
1.まず、足を腰幅に開いて椅子に座ります。
2.手を後ろで組みます。
3.胸は上前、腕は斜め下に伸ばします。
これで、20秒キープします。
1.しっかりと椅子に腰かけ、首を曲げ背中を丸め5秒キープします。
2.次に、首と背中を反らせ、5秒キープします。
1.足を軽く開き、腕を伸ばして両手を頭上で合わせます。背筋を伸ばし、真っ直ぐ前方を見つめます。
2.手のひらを外側に向けながら、肘をゆっくりと曲げていきます。肩甲骨同士を寄せられる限界まで近づけて。5回繰り返しましょう。
※スローな動きを意識することで、肩甲骨の柔軟性がUP!
タオルを背中側で持って、左右に大きく動かします。
タオルを背中側で、斜めに持って伸ばします。
タオルを背中側で下からもち左右に引っ張り伸ばします
カルシウム摂取を心掛けて、ビタミンDとマグネシウムを一緒に撮れるとさらに効果的!普段の食事から取り入れていけると良いですね。
円背の患者様は身体に力が入る時はしっかり動作のサポートをして背中に負担が行かないよう注意。
視界がどうしても下方に行きやすくなるので上部への注意がおろそかになりがちです。歩行の際は上部への注意を払う必要があります。
姿勢の改善として無理に背中を伸ばさせたり、可動域を超えた動作は痛みがでてきやす為無理をは禁物です。
(※各運動共、無理のないよう行ってください!)
腸腰筋トレーニング(抵抗アイソメトリック)
座位で体幹を鍛えるスロートレーニング
ベッドや床で行う、体幹と下肢を一気に鍛えるエクササイズ(長座位で胸と膝を近づける)
立った状態での腸腰筋トレーニング(立位が不安定な方は座位での腸腰筋トレーニングを行ってください)
体に優しいスロートレーニングについての解説、転倒予防のためのエクササイズ
1/3スクワット下肢筋力を鍛える高齢者向けスロートレーニング
立位で体幹を鍛える高齢者向けスロートレーニング(立位が不安定な方は座位でのトレーニングを行いましょう)
ふくらはぎを鍛える高齢者向けスロートレーニング
背筋すっきり猫背改善のための高齢者向けスロートレーニング
大腿四頭筋を鍛える高齢者向けスロートレーニング
足腰を鍛えるスプリットスクワットトレーニング
高齢者になるとあまり使われずに衰えやすい筋肉を鍛えます
当院には、全身機能低下の患者さんが多くおられます。訪問マッサージ施術を提供しておりますが、どうしても施術時間が限られています。ですので、ただ単純にマッサージを受けるだけでなく、訪問施術でない日に安全面を考慮した全身機能を鍛えるエクササイズをすることによって、認知症・寝たきり・転倒を予防改善により効果を発揮します。
2020.08.08